「オギャナキ」 

  夜になると
 「ギャーッ」
 と啼いて飛ぶモノがある。
 Tさんは子供の頃によく、あれはオギャナキだと聞かされていたそうだ。
 夜中に赤子のような泣き声をたてて、時にはおぶってくれとせがむ。
 祖谷地方では背負子の片方の縄を短くしておくいて
 「背負縄(しょいなわ)が短いけん」
 と断ると去ると言われているが、オギャナキ以外にも山姥に背負ってくれと頼まれた時に同様の事を
言うと良いと言われる。
 
 「火の玉4話」
 
1 Uさんの祖母が見た火の玉は大きな欅(けやき)にぶち当たって割れた。

2 昭和30年ごろ、Oさんが白川へ向かった時に前を行くSさんの後ろにボーッと明るい火の玉がついて
  行くのを見た、前を行くSさんも気味悪がって後ろを振り返りながら足を速めていくので
  「火の玉がついてくるんでだいぶあわてとるわ!」
  と、言いつつ皆で見ていると 犬を飼っていたYさんの家の近くで火の玉はスッと消えた。
  「ありゃやっぱり狸じゃな、狸は犬を怖がる」
  と話しあったそうです。


3  Oさんが火の玉を見たのは2007年のこと。
   昔から火の玉を目撃した人は絶えないが、山城町では最近になっても目撃者が出ている。

4  昭和の初め、Oさんが友達と二人で出かけたときの事。
   午後7時過ぎの夜道を歩いていると、川手の右の家の上から大きな丸い青味を帯びた大きな火の玉
   が赤い尾を引いてあらわれ、10メートル程上空を横切り左の林に入っていったが火事になることは
   無かった。
   そこにはたくさんお墓がある場所だったので、とても怖かったそうだ。